注文住宅の住宅ローンは独特!分かりにくい仕組みを解説!
住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、「建売り住宅」や「中古住宅」「マンション」など、すでに完成している家を購入するのは比較的分かりやすいです。
基本的に、金融機関(銀行など)からお金を借りて、家を購入する流れだからですね。
いわば、自動車ローンとかと同じ仕組みです。
だけど、注文住宅を建てる際には、独特の仕組みというか、やり方があります。
そもそも、注文住宅はまだ建築されてない、いわば「モノが無い」状態で融資を申し込むというローンです。
建てる住宅メーカー側も、融資が未定のまま先に建築するリスクは取れないので、建築前に(完成までに)お金を支払ってもらいたいのですね。
ここで矛盾が生じます。
「まだ建ってないけど、お金は貸して!」
銀行は、まだモノが無い状態でお金を貸したくないし、
かといって、お金を払わないと家の建築を始めてくれない。
これでは、注文住宅は現金で建築する人しか建てられないということになってしまいます。
今回は、そんな独特な「注文住宅」の住宅ローンについて、
- 事前審査から本申し込み、融資実行までの流れを解説
- つなぎ融資についてカンタンに分かるように解説
していこうと思います。住宅ローン自体が良く分からないのに、注文住宅のローンとなると余計に分からなくなるという声をよく聞きますので、ザックリとでも流れをつかんでもらえたらいいなと思っています。
まずはシミュレーションから
この記事を書いた人
この記事を書く、僕の自己紹介をします。
僕は、ハウスメーカー在籍時に注文住宅の住宅ローンを、それこそ「毎日」のようにご相談に乗ってきたし、実際に何組もの住宅ローン実行のお手伝いをしてきました。
なので、住宅ローンについて言えば「注文住宅のローン」の方が圧倒的に経験値があります。
今回は、注文住宅の住宅ローンの流れについて解説していきます。
つなぎ融資についても解説しますので、参考にしてください。
注文住宅の住宅ローンの流れ
事前審査
何はともあれ、住宅ローンの最初の入り口は
「事前審査」です。
これは、住宅ローンをいくらまで借りられるのか、そもそも貸してもらえるのか?
といったことを、事前に銀行さんに審査してもらうというものです。
家の購入を決めて、打合せをして、いざ住宅ローンを申し込んだのに、
「融資が通らなかった」
「希望の金額を貸してもらえなかった」
とならなないために、融資の前段階、できれば注文住宅を建てるハウスメーカーと契約する前に行っておいた方がいいですね。
事前審査に通れば、よほどのことが無い限り本審査(実際に申し込む時)に審査落ちすることはありませんので、安心できます。
では、どんな審査をするのか?
ということですが、これについては、僕が以前このブログの記事で、
「住宅ローンの審査とはどういうものなのか?銀行がチェックするポイントとは?」
「住宅ローンの審査が通らない「5つの理由」」
という2つの記事で解説していますので、そちらの記事を参照して下さい。
事前審査は、ハウスメーカーの人が手配してくれますので気に入ったハウスメーカーが決まった段階で、事前審査をお願いしましょう。
(こちらからお願いしなくても、ハウスメーカーの営業マンから事前審査を勧められると思いますが…)
事前審査は申込みから中5日程度で回答が来ます。
早いと翌日に回答がくる金融機関もあります。
もちろん、事前審査をしたからと言って、必ずしもその銀行で住宅ローンを組まないといけないわけではありませんが、できれば意中の銀行で事前審査を行うに越したことはありません。
住宅ローン審査速攻承認プログラム融資本申し込み
事前審査が通って、無事お気に入りの「ハウスメーカー」と契約を終えました。
その後は楽しい家の打合せが待ってます。
間取りを決めたり、設備を選んだりと注文住宅ならではの完全オーダーメードな家を要望できます。
(最近はパターンから選ぶセミオーダー形式が流行りですが)
とにかく、そんなこんなで打合せが終わり、着工へ向けて準備をしてもらう段になったら、いよいよ住宅ローンの「本申し込み」を行います。
本申し込みは、事前審査と違ってすでに建てる予定の家の図面もありますし、正確な資金計画も出来上がってますので、それに対しての審査となります。
とは言え、事前審査で回答をもらっている融資金額を超える申し込みでなければ、ほとんど大丈夫だと思います。
住宅ローンで勘違いしやすい落とし穴
勘違いしやすいのは、こんなケースがあります。
例えば、
事前審査で3000万円承認の回答が来ている
↓
実際の建築費は2800万円で納められそう
↓
だけど3000万円通っているから、差し引き200万円が浮く
↓
その200万円で車でも買おうかな
これ、ダメです。
住宅ローンは文字通り、「住宅」を購入するまたは建築するために使うお金以外には使ってはダメです。
つまり、いくら3000万円事前審査で通っていても、実際の建築金額が2800万円なら、2800万円までしか借りられません。
まれに一部の「悪徳ハウスメーカー」が、銀行へ提出する資金計画書を改ざんして2800万円のところを3000万円として、お客様に不正に200万円を搾取させることを行っている場合もあるようですが、それはダメです。
もし、銀行にバレたら最悪「期限の利益を失う」措置を取られかねません。
「期限の利益を失う」とは、要するに「貸した住宅ローンを今すぐ耳をそろえて返してくれ」という要求です。
35年かけて返すという期限の利益を失うということですね。
こうなると、マジ破産です。
注意しましょう。
住宅ローン審査速攻承認プログラム融資承認
融資の本申し込みが終わったら、銀行側が「融資承認」を降ろしてくれます。
これは、正式に融資の審査に通ったということです。
建売や中古住宅、マンションの購入であれば、ここからすぐに融資実行の段取りに入るわけですが、注文住宅は違います。
何と言ってもまだ「家が影も形もない」状態だからです。
融資証明書
注文住宅で建築する場合は、融資の承認が降りると「融資証明書」というのを発行してくれる場合がほとんどです。
これは何かというと、
「家が完成したら○○万円の融資を実行します」
という証明書です。
この証明書が大事になってきます。
この融資証明書を元に「つなぎ融資」の申し込みを行います。
つなぎ融資とは?
融資証明書が発行されたら、いよいよ融資実行…と行きたいところですが、融資の実行は先に述べた通り「家が完成してから」
ならばハウスメーカーに先に家を建ててもらって、完成したら銀行からお金を借りて払えばいいのか?
というとそうではありません。
ハウスメーカーは先にお金を払ってもらわないと、着工もしないですし、当然引き渡しも行いません。
融資は家が完成してから、でも建築はお金をもらってから。
困りますね。
ここで、「つなぎ融資」が必要になります。
つなぎ融資を一言で説明すると
「家が建って住宅ローンを実行するまで立て替えてもらう仕組み」
と思ってもらえば分かりやすいかと思います。
つなぎ融資の仕組みとかかる費用
つなぎ融資を行ってくれるのは、銀行などの金融機関になります。
住宅ローンを申し込んだ銀行が「つなぎ融資」を行ってくれる場合もありますし、ハウスメーカーが独自の提携を結んだ銀行を使う場合もあります。
つなぎ融資の仕組み
つなぎ融資を行ってくれる銀行に、融資証明書を提出して家の完成までの「立て替え払い」を依頼します。
つなぎ融資を実行してくれる銀行は、立て替えた期間の立て替えた金額に対する利息を頂戴する、というシンプルな仕組みです。
つなぎ融資の費用
つなぎ融資の費用は、立て替えてもらう金額と、立て替える期間の利息分となります。
では、実際にどれぐらいかかるかという例を書きます。
つなぎ融資の計算は、立て替えてもらう金額×金利÷365で、1日あたりの利息金額を出します。
その1日当たりの利息額に立て替えてもらう期間の日数をかけて、費用をはじき出します。
これで、実際にどれぐらいの費用がかかるかというと(小数点以下は切り捨て)
①1000万円×2.5%÷356日×180日=123,120円
②1000万円×2.5%÷365日×120日=82,080円
③1000万円×2.5%÷365日×40日=27,360円
合計:232,560円
これが、3000万円を3回に分けてつないだ時の利息分です。
232,560円を融資実行時(もしくはつなぎ実行時に天引き)で支払ってつなぎ融資(立て替え払い)をしてもらうのが、「つなぎ融資」です。
図にすると、下記のようなイメージです。↓↓↓
ちなみに、つなぎ融資の金利は、住宅ローンよりは高くなります。
大体、2~3%台が主流です。住宅ローンの提携がある場合は1%台で実施しているところもあります。
担保も何もないリスキーな融資(立て替え払い)ですので、金利が高いのも仕方ないですね。
金銭消費貸借契約(金消契約)を結ぶ
家が完成したら、いよいよ住宅ローンを実行していきます。
ここで、よく勘違いをしている方が多いのですが、
融資申し込みが終わっているので、後は自動的に融資の実行がされると思っている人が多いです。
融資の申し込みをして、承認が降りているからと言って融資が実行されるわけではありません。
融資の実行をしてもらうためには、銀行との「契約」が必要になってきます。
この契約を「金銭消費貸借契約」いわゆる「金消契約(きんしょうけいやく)」と言います。
実際に家が完成して、融資が実行できる準備が整ったら、融資承認(融資証明書)に基づいた契約を行います。
この時には、新住所の住民票などが必要になったり、司法書士の先生に登記の依頼をしたりするのですが、これはハウスメーカーの営業マンが段取りしてくれるので、お任せして、指定された日に銀行へ出向いていけば問題ないと思います。
住宅ローン実行
金消契約が終わると、数日後に住宅ローンが実行されます。
そのお金で、立て替えてもらっていたつなぎ融資を完済していきます。
これも、銀行とハウスメーカーに任せておけば問題ないです。
住宅ローン実行と同時に、所有権の保存登記と抵当権の設定登記がなされます。
これは司法書士の先生にお任せで問題ありません。
まとめ
今回は、
【注文住宅の住宅ローン】事前審査から申し込み、融資実行までの流れと、つなぎ融資について解説しました。
注文住宅の住宅ローンは独特ですので、分かりにくいですね。
特に「つなぎ融資」の内容が難しいという声をよく聞きます。
これが、土地から購入となると、またさらにやることも増えるので複雑になります。
また、土地から購入する場合の住宅ロー実行に関しても、いつか解説したいと思います。
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