勤めている会社を辞める時に「退職代行」を利用する人が増えているそうです。
退職代行サービスに対する賛否は分かれるところではありますが、私は、
絶対におススメできない
と断言します。
今回は、最近急速に利用者が増えている「退職代行」をおススメしない理由を解説していきたいと思います。
会社は辞めたいけど、退職の手続きが面倒だから…などの理由で退職代行を利用しようとしている人がいたら、この記事を読んでからもう一度考えてみて欲しいと思います。
退職代行は違法なのか?
「退職代行」と検索をすると、その違法性を解説した記事が多くヒットします。
では、退職代行は違法なのか?
結論から言うと、退職代行サービス自体に違法性はありません。
依頼者の「会社を辞めたい」という意思を会社側に伝えるだけの存在であるならば、です。
これを法律用語で「使者」といい、明確に「代理人」とは区別されています。
ちなみに、使者(ししゃ)とは、本人が既に決定している意思を相手方に表示、または本人の意思表示を相手方に伝達する人のことです。
代理人との違いは、代理人には代理権の範囲内で意思決定の自由を有するのに対し、使者の場合、意思決定は本人が行い、使者はその完成した意思を伝達するにとどまります。
そのため、使者は意思能力を有することを要しませんが、本人は意思能力及び行為能力を有していなければならず、意思表示の有効要件も本人について判断されます。
簡単に言えば、依頼者の意思決定を伝えるだけの「使者」と、依頼者本人の意思決定を代わりに行えるのが「代理人」ということになります。
退職代行のサービスが、単に「使者」としてのサービスにとどまる限りは違法性はありません。
退職代行と非弁行為
退職代行が「違法性」の疑いを持たれる理由は、「使者」なのに「代理人」のような行為をする場合です。
これは、依頼者の代わりに会社と未払い給与の請求を行ったり、退職手続きを代行したりした場合がそれにあたります。
これは、非弁行為と言って弁護士以外の者が依頼者に代理して争いごとを交渉したり、権利を主張したりする行為です。
これは法律で明確に禁止されています。
非弁提携に注意!
退職代行を提供している側も、さすがに非弁行為についてはよく理解されています。なので、よほど悪質な業者でない限り、非弁行為は行っていないと思います。
ただし。
注意すべきなのは「非弁提携」と呼ばれることをしている業者かどうかということです。
「非弁提携」とは、業者自体は顧問弁護士と提携してるものの、実際は無資格のスタッフが提携弁護士の名を使って業務を行う行為です。
これも、非弁行為となりますので気を付ける必要があります。
退職代行のホームページなどで「顧問弁護士と提携しているから安心」とうたっていても、実際には名前だけの提携だという可能性もあります。
法律事務所が運営している退職代行サービスであれば、安心かもしれませんが、そこを確認しないとダメです。
辞めたい会社とモメているのか???
勤めている会社と給与の支払い、パワハラ・セクハラ、時間外労働などのことでモメているのか?ということが問題になります。
もしも、なにか会社側に不法行為などがあって、辞める際に交渉したいことがある場合は、弁護士もしくは労働基準監督署などに相談すべきです。
退職代行に頼むことではありません。
単純に
「辞めると言いにくい」
「退職の手続きが面倒」
「引継ぎ期間に会社に出社しずらい」
などの理由だけの場合が「退職代行」を使うシュチュエーションだと思います。
しかし。
退職代行で「円満退社」などあり得ない
今まで働いてきた会社に対して「辞めます」とすら自ら言えないというのは、いかがなものでしょう?
会社側に不法行為がなく、何も交渉することもない、ただ辞めたいと言いにくいから退職代行を使うというのは、正直その人の信用問題になるかと感じています。
私が以前勤めていた会社でも、退職代行を利用して退職した社員がいました。
その人は、残った社員からは批判の的になっていました(もちろんそれ以後会うことはありませんでしたが)
「最後ぐらいピシッとキレイに〆て終われないのか?」
という声をあちこちで耳にしました。
辞める会社の人にどう思われようと構わないという気持ちなのでしょうが、やはり長い目で見るとマイナスでしかないように思います。
せっかく作った人との縁ですので、退職後も良い関係をつなげていけた方が良いのではないかと思ってしまいます。
ハッキリ言えるのは、退職代行を使った退職に「円満退社」はない、ということです。
【例外】退職代行を使うべき時
結論から言えば、退職代行はおススメしないですし、使わない方がいいと思います。
ただし、例外があります。
退職代行を利用した方がスムーズにいくと想定できる場合があります。
それは、
「現時点では会社とモメていないけど、辞めると言ったらモメそう…」
と思われる場合です。
過去に退職していった社員が例外なく理不尽な扱いを受けていた、とか、かなり自分に不利な誓約書を書かされそうとか、そういう恐れのある場合は、退職代行を利用する価値はあります。
では、どんな退職代行業者を使うべきなのか?
もしも、退職となったらモメそうなおそれのある場合は、どんな退職代行サービスを使うべきなのか?ということが気になりますね。
弁護士がついている退職代行なら安心ではありますが、先に書いたような「非弁提携」が無いとも限りません。
そこで、おススメは、労働組合系の退職代行業者です。
なぜ労働組合系の退職代行なのか?
労働組合は、労働者の代わりとなって会社と交渉することが法的に認められた団体です。
労働組合法という法律によって会社と交渉することが認められているため、弁護士以外の者が会社と交渉する「非弁行為」も適用外となります。
なので、会社側とちゃんと交渉ができ、なおかつ非弁行為の心配もないのです。
もちろん、最初から弁護士に依頼するという手もありますが、実際に争いごとが起きるかどうかも分からない段階で弁護士を介入させると、不要な争いに発展する可能性もあります。
なので、労働組合が運営する退職代行を利用するのがいいです。
労働組合系の退職代行サービスなら「ガーディアン」が有名
労働組合系の退職代行サービスとして、有名なサービスに「ガーディアン」があります。
こちらは、労働組合法に基づき東京都労働委員会に認証されている法人格を有する法適合組合が運営するサービスなので、会社を相手に労働者の代理/交渉が可能となっています。
もしも、辞めると言ったらトラブルになりそうだと不安であれば、ガーディアンに相談してみてもいいかと思います。
LINEや電話で相談できるので、一度聞いてみるだけでもいいかと思います。
【退職代行ガーディアン】まとめ
会社を辞めたいときに退職代行サービスを利用するのはおススメできません。
出来ればちゃんと自分で退職の意向を伝えることがベストです。
ただし、例外として、退職に対してトラブルになりそうな不安がある場合は、労働組合が運営している退職代行サービスに相談するのもアリです。
退職は次の人生のステップです。
出来ればスッキリと手続きをして、新しい人生のスタートを切りたいですね。
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