実際に自己破産した者だけが実感する「自己破産の現実」
自己破産。
僕の人生の中でもかなりインパクトのある出来事でした。
僕は、43歳の時に自己破産を申し立て、翌年に免責が降りました。
ネットの情報を見ると、自己破産の情報もたくさん出てきます。
ただ、それらのほとんどは、自己破産を経験したことのない人が発信している情報です。
それは、そうですよね。
自己破産した人間など、そんなに多くはいませんので。
なので、どの情報を見ても通り一遍というか、当たり前の情報ばかりです。
僕は、実際に自己破産者なので、自己破産した時の気持ちや実情がリアルに分かります。
こんな経験でも、自己破産しようか迷っている人や、負債に苦しんでいる人の参考になればと思って記事にします。
これから折に触れて、自己破産の記事を書いていくつもりです。
今日は、本当に最初の最初。
実際に自己破産した者が感じた「メリット」「デメリット」について解説したいと思います。
当時、僕は飲食店を2店舗経営する会社の社長をしていました。
会社と言っても、資本金10万円で設立した吹けば飛ぶような会社でしたが。
僕は2012年に会社の経営を辞めて、会社員に転職をしたのですが、理由は当然というか、まぁ、会社を維持できなくなったからです。
要するにキャッシュアウトして、債務の返済が出来なくなってしまったのですね。
もう、どこからも融資を引っ張って来れなくなり、お店の電気代を払うために、消費者金融の無人借入機に行って、5万円の借り入れを申し込んで、見事に拒否された瞬間に「終わった…」と思いました。
今でも思い出すと、胸のあたりがキリキリと痛むような気がします。
自己破産、僕のケース
僕の場合は、純粋に事業資金がショートしての自己破産です。
一応、株式会社という法人組織にはしていたものの、個人事業主とそんなに変わらない形態なので、当然事業資金も個人の資金を突っ込んで凌いでいました。
会社の名前で借り入れが出来なくなれば、個人の名義でお金を借りて店の資金に回すという感じです。
その、個人の資金も消費者金融の無人機で5万円の融資を拒否された瞬間に万策尽き果てた感じで、諦めました。
債務総額は、およそ7000万円。
なーんだ、たった7000万円?と思う人も多いかと思いますが、個人で返済していくには難しい額でした。
無人機で借り入れを拒否されてすぐに、店の営業をストップしました。
何と言っても、電気代も払えないので、店をオープン出来ないのです。
債務整理に詳しいという弁護士さんをネットで探して、相談に行き、債務整理の相談をしました。
できれば自己破産ではなく、個人再生か任意整理でなんとかならないかという希望を持っていました。
弁護士先生からの結論は「自己破産」を申し立てる方がいいという判断をされ、色々迷いましたが、僕もそれに同意しました。
結局、会社で働き始めた2013年に自己破産の申し立てをして、翌2014年に免責が降りたということになります。
自己破産のメリット
結論から言うと、自己破産には、メリットもデメリットもあります。
いいことばかりではないし、悪いことばかりでもないです。
まずは、自己破産をするメリットを3つ挙げていきます。
メリット① 取り立て、返済がピタリと来なくなる
正確には、自己破産手続きに入ると、全ての返済を止めることが出来、取り立ても来なくなります。
弁護士さんが債権者(お金を借りている先)に通知をしてくれるので、それ以後は本人に連絡することが禁じられます。
なので、それ以降はピタリと返済の催促も何も来なくなります。
自己破産の直前は、返済日を睨みながら、どれから先に返済するかを考えたり、返済が遅れると、すぐに金融機関や取引先から連絡があり、「いつ払ってくれるのか?」と問い詰められてました。
僕の場合は、銀行さんが返済前日に店まで来て
「明日返済日ですが、大丈夫ですか?」
と露骨に尋ねられてました。
そういったことが、自己破産手続きをしたその日から一切ゼロになります。
これは、精神的にすごく楽になります。
メリット② 一定の現金は残せる
自己破産というと、身ぐるみ剥がされて裸一貫で放り出される…
というイメージを持ってました。
そんなイメージの人いませんか?
当然、持っている財産は債権者に対して分配されるのですが、それでも再起のために一定の現金の所持は認められます。
僕の場合は99万円までは現金で持っていて良い、つまり、現金99万円までは債権者への分配に回さなくて良いとされていました。
おそらく、今でも変わらないと思いますが。
一定の額が残せるだけでも安心できますね。
メリット③ 周囲の人には気づかれない
自己破産しても、まず周囲の人には気づかれません。
自分が黙ってさえいれば、親戚の人ですら気付きません。
(親戚から借金していたらバレます。債権者ですから)
厳密にいうと、「官報」というものに名前が載って公に公表されるのですが、「官報」って見たことありますか?
「いつも官報には目を通してる」
という人がどれだけ存在するでしょうか?
まず、いないと思います。
自己破産した当事者の僕ですら見たことがありません。
どこに行けば見れるのかも知りません。
なので、現実的には自己破産しても、自分から言わない限り誰にもバレません。
自己破産したら、友達から白い目で見られる…というような心配はまず不要です。
自己破産のデメリット
次は、自己破産のデメリットを3つ解説していきます。
デメリット① 大方の財産は失う
99万円までの現金は残せると書きましたが、それでも大方の財産は失います。
僕は、当時42歳で住宅ローンを完済していました。
すごく頑張って、12年で住宅ローンを完済したのです。
その年で住宅ローンを完済していた友人は皆無だったので、僕としてはよく頑張って返済していたと思っています。
その完済した戸建て住宅には、完済後わずか8ヶ月しか住めませんでした。
自己破産の申し立てをする時に売却して、お金に変えて債権者に分配したのです。家を明け渡しす日の悲しさは、今でも思い出したくありません。
それと、乗っていた車も債権者の分配金のために処分しました。
仕事で使っていた車と合わせて2台。
パソコン、ロレックスの腕時計、ゴルフ会員権なども全て処分(差し押さえ)
思い出の品とか、もう既にさほど金融価値がないものでもとにかく財産と思しきものは全て差し押さえです。
デメリット② 知り合いに不義理をすることになる
これが、一番ツラかったことです。
僕は、知り合いにも借金をしていて、それだけは返済したかった。
友達から借りたものは、例え何年かかっても、返済していきたいと思い、弁護士さんにそうお願いしましたが、答えはNG。
複数ある債権者の中で、友人だけ特別扱いして返済するというのは認められないと言われました。
銀行だろうが友人だろうが、債権者には変わりないということ。
なので、友人の借金も含めて債務の整理対象になります。
加えて、債権者に個別に連絡も取れなかったので、友人へ事情を説明することも出来ません。
弁護士さんから非情にも、債務の分配を伝えてもらった形になります。
それ以来、その友人とは音信不通。
免責が降りた今でも申し訳なくて連絡が取れません。
また、お世話になった取引業者さんにも、何も伝えることができず、一方的に債務の分配をした形になります。
ある意味「踏み倒された」と思われているのではないかと思い、胸が痛いです。
デメリット③ クレジットカードを作ったり、住宅ローンは組めない
当然のことながら、自己破産をするとそれ以後、金融機関からの信用はゼロになります。
どれだけその後頑張って仕事をして、収入を安定させても住宅ローンなどは組めません。
なんなら、車のローンも組めないし、携帯電話の分割払いもできなかったりします。
何気に一番不便なのは、クレジットカードを持てないこと。
今、ネットでクレジットカードオンリーの支払いなども増えてきてるので、これは本当に不便。
デビッドカードなら作れるのですが、サブスクリプション系(月額定額課金)のようなサービスには使えなかったりします。
自己破産者のクレジットカードについては、別の記事で書く予定ですが、とにかく不便です。
5年経てば作れるようになると、ネットには書かれてますが、あれは嘘です。
5年経っても作れません。
(このあたりのお話は、また別記事でアップします)
自己破産はできれば避けた方がいい
ネットでは、自己破産してやり直すといい、とか、数年経てば元どおりにお金が借りれるみたいなことが書かれてますが、あれは信じない方がいいです。
正直、自己破産したら、金融関連の信用は永遠に戻らないと思った方がいいです。
これは、想像以上に不便を強いられるし、今の日本は一度自己破産をした人を簡単には「無かったこと」にはしてくれません。
アメリカのトランプ大統領は4回自己破産して再起してると聞きますが、羨ましい。
失敗は人生につきもの。
なので、この自己破産もいい経験ではあります。
ただ、簡単に「自己破産すればいいか」とは思わない方がいいです。
できれば頑張って返済していければいいと思います。
それでもどうしてもダメなら、自己破産をするしかないですが。
ただ、僕も自己破産しても今は幸せですし、自己破産前よりはるかに稼げるようになりました。
当時の債権者の人には申し訳ないですが、それでも再起は可能ですので、もし、本当に悩んでいるなら、自己破産を考えてみるのもいいです。
それでもどうしても苦しい時は、専門家に相談して下さい。
自己破産は出来れば避けたいですが、毎日追い詰められて、精神的にも限界が来そうなら、早めに専門家に相談するべきです。
実は、自己破産にもタイミングがあります。
そのタイミングを逃すと、もう自己破産の申し立てすら出来なくなってしまう可能性もありま
す。
自己破産を申し立てるにも費用はかかりますので、その費用すら用意できなければ、自己破産も出来ず、再起のチャンスが遠のいてしまいます。
僕も、専門家の弁護士さんに相談するのがあと2ヶ月遅かったら、どうにもならなかったと思います。
自己破産はいつでも出来るものではなく、タイミングが重要です。
自己破産や債務整理に詳しい弁護士事務所のリンクを下に貼っておきますので参考にしてください。
↓↓↓ シン・イストワール法律事務所(債務整理専門の弁護士法人)
自己破産をするかどうか、自分一人で悩んでないで、専門家の弁護士さんの意見を聞いて相談することをおススメします。
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