【会話をこっそり録音するのは違法?】クレーム・パワハラ・言った言わないの証拠になるのか?

コミュニケーション・スキル
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トラブルの多くは「言った言わない」が原因

お客様や取引業者、行政機関、社内のミーティング内容など、トラブルになる多くは

「言った言わない」「聞いた聞いてない」といったことが原因です。

人間の記憶は曖昧なので、単純に忘れていたり、聞き間違いをしていたり、記憶違いなんてこともあり得ます。

その際にこっそり会話を録音しておけば、そんなトラブルにならないのでは?

と思うものの、実際に録音までするのは、なんだかやりすぎなような気もするし、そもそも「盗聴録音」で違法行為なのでは?と思う人も多いようです。

例えばこっそり録音したい場面を上げると

  • 言いがかりのような理不尽なクレームをつけられている
  • 逆にクレームに対して真摯に対応されない
  • 威圧的な恫喝を受ける
  • パワハラやセクハラを日常的に受けている
  • ひどいイジメにあっている
  • 多くの決定事項がある打合せ
  • 役場の対応

このような場面では相手との会話を録音しておきたいと思いますよね。

結論から言うと、こっそり録音することは違法行為ではありません。
また、しかるべく証拠能力も認められます。

今回は「人との会話をこっそり録音する」ことがなぜ違法ではないのか?
そもそもどんな場面で録音をするのか?
録音する時の注意点は?
おススメの録音機材(ICレコーダー)について解説したいと思います。

僕は日常的に仕事で会話を録音しています

僕は、日常的に会話を録音しています。

なんか、こう書くと「盗撮マニア?」的なイメージになりますか?(笑)

そうではなく、仕事柄会話を録音しておくことが必要なのです。

僕は、行政書士なので、いつも役所との折衝を行うことになります。

行政書士は、役場へ提出する書類をお客様に代行して作成するのが仕事です。

役場へ出す書類と言っても、住民票を請求するような簡単な書類ではなくて、A4の紙が数十枚にも及ぶような膨大な許可申請書などを作成します。

当然、法律書類ですので規定も厳格なのですが、この場合はその規定に当てはまるのか?といった判断をその都度役場と協議していくことになります。

その時に、①聞き漏らすことがないようにという意味と、②役場の担当官が言ったことを記録しておくために録音をしています。

①に関しては、単純に後から聞いたことをもう一度確認するために録音をしています。

②に関しては、役場の担当官も時には間違ったり、その部署へ異動したばかりで経験が浅く必要事項を伝え忘れたりということが起こります。そのためにこちらが不利益を受けないために、録音をしています。

つまり、僕は役場に打ち合わせに行くときは必ず「会話を録音」しているのです。

なぜこっそり録音することは違法ではないのか?

そもそも、こっそり録音することを「違法ではないのか?」と考えてしまうは、「盗聴」と「秘密録音」を混同していることにあるのではないでしょうか?

「盗聴」と「秘密録音」は何が違うのか?

ざっくりカンタンに言うと、

●盗聴
第三者間の会話を当人たちの同意を得ずに録音すること

●秘密録音
会話の当事者の一方が相手の同意を得ずに録音すること

この違いです。
つまり、自分が当事者ではない会話を黙って録音したら「盗聴」で、自分が会話の当事者で会話相手に黙って録音したら「秘密録音」です。

で、この秘密録音に関しては違法行為には当たらないというのが法的見解です。

「え?会話のプライバシーを侵害されてるじゃん!」

って思いがちですが、他人に自分の内的な情報を開示している段階でプライバシーの侵害にはならないとのことです。

ただし、注意が必要なのは、その録音したものをむやみやたらに公開してしまっては、場合によっては違法行為となる場合があります。

つまり、録音そのものは違法行為ではないけれど、録音したものに関しての取り扱い次第では違法性を主張されることもあるということです。

なので、まとめると

「自分が会話をする当事者なら相手の合意を得ずに録音しても違法ではないけど、録音したものに関しては取り扱いには注意する」

そんな感じですね。

【補足と注意喚起】
第三者間の会話を無断で録音する「盗聴」もその行為自体は違法ではないようです。
ただし、録音するために無断で家に侵入したり、電話を傍受したり、他人の行動を監視したり付きまとったり、ネット上で公開したりといった行為はすべて違法、というより犯罪行為です。なので、盗聴そのものは違法ではないにせよ、犯罪行為と結びついている場合がほとんどなので、盗聴は絶対にやめましょう。

秘密録音は法的な「証拠」となるのか?

秘密録音で録音した内容に関しては、「法的な証拠」となります。

なぜかというと、裁判所の判例で証拠として認められているからです。
ここに、その判例を引用します。

無断で録音した音声データに証拠能力が認められるか否かについては、東京高裁昭和52年7月15日判決があります。

民事訴訟法は、いわゆる証拠能力に関しては何ら規定するところがなく、当事者が挙証の用に供する証拠は、一般的に証拠価値はともかく、その証拠能力はこれを肯定すべきものと解すべきことはいうまでもないところであるが、その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときは、それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ないものというべきである。そして話者の同意なくしてなされた録音テープは、通常話者の一般的人格権の侵害となり得ることは明らかであるから、その証拠能力の適否の判定に当っては、その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか否かを基準とすべきものと解するのが相当であり、これを本件についてみるに、右録音は、酒席における甲らの発言供述を、単に同人ら不知の間に録取したものであるにとどまり、いまだ同人らの人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したものということはできないから、右録音テープは、証拠能力を有するものと認めるべきである。

引用:岩熊法律事務所ホームページ

つまりは「著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法」で録音したものでなければ証拠能力はあるということです。

【補足】
ただし、東京高裁平成28年5月19日判決では、パワハラやセクハラの秘密録音を勝手に公開してしまったことで、その証拠能力を否定する判決も出てます。
やはり、録音したものの扱いには注意が必要です。

秘密録音をする時に注意すること

とはいえ、秘密録音をしなければならない時というのは、自分の身を守らなければならないような時ですよね。

自分の身を守り、財産を守るためには、秘密録音を活用することもいいと思います。
ただし、秘密録音をする際に注意するべきことがあります。

注意点① 録音したものの扱いは慎重に

秘密録音したものを無断で公開したり、第三者にメールやLINEで回覧したりするのはやめましょう。

また、録音したものを元に相手方を脅迫したり、脅したりする行為は逆に犯罪行為となりかねません。

あくまでも、トラブルになった時の「お守り刀」のような存在として扱うべきです。

注意点② いつ、どこで、誰と会話したのかを記録しておく

これは、意外と大事です。いつ、どこで、誰と会話をしたのかを記録しておきましょう。

できれば録音の冒頭に「〇〇年〇月〇日、✕✕にて。△△さんとの会話」というように録音しておくといいですね。

注意点③ ICレコーダーなどを忍ばせる場所に注意

録音には、ICレコーダーを使うのが一般的です。
そのICレコーダーですが、意外と録音が難しいです。

スーツのポケットに入れて録音ボタンを押しても、声が小さくて聞き取りずらかったり、衣擦れの音ばかり録音されてしまい、声が聞こえなかったりします。

また、ワイシャツのポケットなどに入れると、透けてICレコーダーそのものが見えてしまたり、電源ランプが光って見えたりします。

僕は、スーツのポケットにICレコーダーを入れて、ピン止め出来るマイクを付けて録音しています。
ペン型のICレコーダーなどもいいですね。

注意点④ スマホの「ボイスメモアプリ」はおススメしません

スマホにもボイスレコーダーアプリが入ってますが、僕はおススメしません。

じつは、僕も何度もスマホアプリで録音を試みたのですが、すべて失敗してます。

なぜか途中で録音が切れてたり、メールの通知が来て、そこで録音が止まったりと、どういうわけか上手く作動してくれません。

シンプルに録音性能が良くて、録音時間も長い「ICレコーダー」をおススメします。

おススメのICレコーダー5選

おススメのICレコーダーを紹介します。どれも小型軽量で、録音時間もたっぷりあるので秘密録音には困らないと思います。

その①


操作がシンプルで安心のブランドPanasonic。初めてICレコーダーを購入する人におススメ

その②


超小型で軽量(15g)、録音時間も188時間とたっぷりです。パッと見た目ICレコーダーに見えないところもいいですね。

その③


ICレコーダーでは定評のあるオリンパス。僕が使ってるのもこのモデルです。

その④


ペン型のICレコーダー。なんと本当に文字も書けてしまうからびっくり。これならICレコーダーだと気付かれにくいかも。

その⑤


こちらもペン型のICレコーダー。カラーも3色から選べます。

まとめ

いかがでしたか?

日常的にトラブルに悩んでいたり、絶対に聞き間違いは許されない打合せなど、こっそり録音しておきたい場面は案外多いものです。

記事で書いたように、秘密録音は違法ではなく、法的な証拠能力もありますが、録音したものの取り扱いには注意しましょう。

ただ、自分の身を守るために「秘密録音」は有効な手段です。
何かトラブルに悩んでいたりするならば、一度活用してみて下さい。

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