会社員が転職や独立起業をする時に、それまで勤めていた企業に提出するもの。退職願い?退職届?辞表?どれが正しいのでしょうか?
退職願い・退職届・辞表の違い
会社を辞める時に意思表示をしなくてはなりませんが、世間一般には
- 退職願い
- 退職届
- 辞表
と似たような書式なのに、微妙に呼び方が違うものがあります。
これって、厳密に違うものなのでしょうか?
実は、これ、全然意味合いが違います。
もちろん、法的な決まりは無いので、厳格な書式が存在する訳ではありません。
世間一般に意味合いが微妙に違っていて、混同して使われているのが現状です。
僕も途中自営業や会社経営してた時期もありますが、所属した企業の数は4つあります。
その全てに退職の意思表示をしてきました(当たり前か…)。
言わば「退職意思表示のベテラン選手」です。
まぁ、あまり自慢できないかもしれませんが。
これから会社を辞めて、新しい人生のスタートを切る前の方、そんな方に「最後はビシッと筋を通す」意味でもこの3つの書類の違いは知っておいた方がいいと思います。
この記事では、3つの書式の意味の違いと、退職願い、退職届の書き方の見本をお伝えしようと思います。
退職願いとは?
まず、退職願いとはいどういうものでしょう?
退職願いとは、読んで字の如く、退職を会社に願い出る書類になります。
会社に「お願い」するのですから、退職願いを提出しただけでは退職が決まったわけではなく、会社の判断を待つという形になります。
なので「退職願いを出したので、次の仕事を決めよう」というのは早計です。
会社からの返答を待ってから次の進路を決めていく(実際に動き出す)のが筋です。
退職届とは?
退職届は、退職願いとは違って、こちらから退職の通知を行う書類となります。
届け出された側(会社側)は原則受理することになり、受理されれば撤回や取り消しは原則できなくなります。
民法627条の規定により、退職の申し入れから2週間後には退職できると定められていますので、法的に言えば退職届を提出してから2週間後には退職できる運びとなります。
辞表とは?
辞表とは、退職願いや退職届とは少し意味合いが違ってきます。
辞表というのは、会社の経営陣(役員クラス)や、公務員の方が提出するものとなります。
一般的な会社員が「辞表」を提出することはありません。
※なので、この記事では辞表の書き方見本は掲載しません。
退職の意思表示をする前に…
いずれにせよ、退職の意思表示をする前にしておくべきことがあります。
就業規則の確認
会社の就業規則を確認して下さい。
退職の際のルールが明記されている場合があります。
10人未満の中小企業であれば就業規則設置の義務がないので、就業規則が存在しない場合もあります。
もし、就業規則があれば、原則就業規則に従って退職の段取りを進めましょう。
退職届の書式があったり、意思表示する際の規則などが決まっている会社もあります。
間違っても「法律に則ってやるから文句ないでしょ」的な態度はしないように。
まがいなりにもそれまでお世話になった会社です。
感謝の心を持って退職して下さい。
上司への相談
いきなりなんの予告もなく退職の意思表示をするのは、どうかと思います。
もちろん、なんの違法性もありませんし、罰を受ける訳ではありませんが、自分の上司には事前に話をしておくべきです。
その際は、メールや電話でのお話は避けて、できれば直接会って伝えて欲しいところです。
退職願いの書き方(見本)
では、まず退職願いの書き方についてです。
これも決まりはありませんが、PCやワープロで打ったものではなく、できれば手書きで書きたいものです。
一般的には縦書きの便箋に縦書きで書いていきます。
退職願いの書き方見本です。

①「願」と書きます。届ではないですので当たり前ですね!
②行末に「私事」もしくは「私儀」と書きます。
③「一身上の都合」が決まり文句。退職の具体的な理由は書きません。
④退職したい日を書きます。少なくとも2週間以降の日付を記入します。
⑤退職願いを提出する日付。
⑥認印を押します。ただし、シャチハタは不可です。
⑦代表者の正式役職名を書きます。
⑧氏名につける敬称は「殿」です。
退職届の書き方(見本)
次に退職届の書き方についてです。
こちらも退職願いの時と同様に縦書きで書いていきます。
退職届の書き方見本です。

①こちらは「届」とします。
②「退職いたします」という言い切りで締めます。
渡し方など
退職願いや退職届は、そのまま渡すのではなく、封筒に入れた状態で渡すのがマナーです。
白無地の封筒に三つ折りにして入れます。
封筒の表には「退職願い」または「退職届」と縦書きで書き、裏には所属部署と自分の氏名を記入します。
封は必ずしもする必要はないようですが、僕は封をした方が良いと思います。
万が一、会社の同僚や取引先に中を見られることを防ぐためです。
最後に
退職は、新たな人生のスタートでもあります。
辞めるからといって嫌な印象を残したまま辞めるとそれは、自身にとっても損しかありません。
できれば会社を退職しても、人として良好な関係を維持できればそれは財産になります。
退職の仕方でその後の人生の財産が変わってきますので、ぜひ良い辞め方をして、良いスタートを切って下さい。
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